Ethnographerとは、文化人類学や社会学にて用いられる研究方法"エスノグラフィー(ethnography)"の実践者を意味します。
エスノグラフィーとは、文化人類学や社会学にて用いられる研究アプローチです。研究対象となるフィールドに参加するなかで、そこで生活する人々が共有している意味や文化・価値体系・行動様式などを多面的に探究しようとするプロセス(およびその成果物であるドキュメント)を意味します。
従来、「未開」社会や都市社会など、定量的な調査だけでは充分に把握・理解できない領域において伝統的に用いられてきました。その後に、産業(化)社会をその対象にとらえ、企業組織や製造工場のなかで見え隠れする人間たちの集団心理や組織文化をテーマに発展をしてきました。
近年では、そのリサーチサイトはさらに拡大しています。
マーケッターが定量調査では抽出しきれない消費者行動や消費者心理にアクセスする術として、あるいは、UXデザイナーがユーザーを取り巻く文化や環境を理解する術として、エスノグラフィーは、様々なフィールドにおいて用いられるようになってきています。
エスノグラフィーの大きな特徴は、その実践主体であるEthnographerの分立する立場性にあります。
自らが遭遇する状況を受け入れ、適応しようとする一方で、敢えて「批判的」な視点を維持しながら、自らの立っているフィールドを丁寧に紐解く。そういうポジショナリティにこそエスノグラフィーの本質があるといえるでしょう。
内部者でありながら外部者であり、フィールドにおいては常に不確かで異質な側面を保有する存在。そして、それぞれのフィールドを認め、「尊重」しつつも、全体性のなかで意味を構築し、そこから“揺らぎ”を生み続ける存在。
Ethnographerは、自らをそういうものとして位置づけています。